とある下着の話
島の中心から上がる噴水から流れ出ては水路を形成しているウォーターセブン。いつも住んでいる裏町の方ではあまり聞こえない、しかし今夜は外から聞こえる音はいつもとは違う。造船島の一画、とある水路を抜け、一つ路地に入ったいつととは違う部屋だからだろう。
今夜はそういうつもりではなかったのだけれど、少し流されてしまっている。どこに寝るかで一悶着をしてから、辿り着いたのは一つのベットの上であった。早急さがある口付け一つして、散らかるようにあっちもこっちもと人の身体を触って熱を上げる。待ってという一言も聞きやしなくて、目の前のだらしないTシャツの布地をギュッと握りしめた。
「良いか…?」
「っ、待ってって…言った」
ワルイという謝っているんだかいないんだかの一言で、貸してもらっている草臥れて色褪せたTシャツの裾に手を伸ばす大きな手。その手に触れられると私は途端に弱くなってしまうみたいで、自分でなくなる感覚が怖くなる。なぞって、触って、揉んでと好き勝手にされつつ、そのブロンドの髪に指先を入れる。いつの間にか熱の上がった息をお互い指摘することもなく、私の着ている下の服に手をつけるパウリー。
「っお!おまえ何つーもん履いてやがる!?ハレンチじゃねェか!!!!っこんなもん履いて仕事してんのか!?ハレンチ女が!!」
突如色気もなく盛大に声を上げたパウリー。少し見越して部屋を暗くしてくれと頼んだのに勝手に息荒くしつつ始めたのはそちらである。
「…紐パンだめだった?」
「っハ、ハレンチだろうがァ!こんなんじゃほどけ…」
どのショーツが良くて悪いか。ベットの上で顔を赤くして叫ぶ男のハレンチセンサーのご機嫌はよく分からない。サイドを紐で結ぶ形の黒いショーツのどこが問題か。とりあえず今までの湿度は急速に下がる一方である。けれども下がるのは私だけらしく、パウリーはリボン結びをしている黒い紐に指をかけようとしている。シュルッと解かれた瞬間、外気に触れ少しの解放感が訪れる。と、思ったのにまさに早業であった。
「…」
「…っ」
「…何、この結び方」
「ひとえつぎ結び、だ」
「ひと、え…?」
指先一つ、器用な男はリボン結びを解いた瞬間によく分からない結び方をしてくれた。一箇所ぐるぐると玉状になっている。
「…待って、ふふ…これどうやって解くの」
「あー…まて、」
横にしていた身体を起こして、大の大人が身体を丸めてちまちまと紐を解く姿を眺める。太い縄ならいざ知らず、薄っぺらい紐、リボンのようなものである。乱れかけた服のまま色気のかけらもなくなった夜、雰囲気含め、ちまちま手先を動かすパウリー含めて少し楽しくなってしまった。
「笑うな」
「ふふ…、むり、ちょっと面白くなっちゃった」
私の喉を鳴らしたような笑い声が部屋に響く。とりあえず気分でなくなってしまったから今日は寝よう?と提案するまであと少し。